皆さんは「キャッスリング」という言葉をご存知でしょうか。山城トレッキング=キャッスリング(キャッスル:城+ing)で歴史ロマンに浸りながら、山城巡りをするものです。
山城には天守閣のような華麗な建物はありません(備中松山城は例外的存在です)。当時の建造物は自然の中に放置されて、静かな里山に戻っていますが、自然に溶け込みながらも当時の威容を主張しています。また、山城は交通の要衝にあって眺望に優れ、しかも難攻不落を競って急峻な山上に築かれます。
中国地方にはそうしたキャッスリングに適した山城がたくさんあります。「♪城跡から見下ろせば蒼く細い河 橋のたもとに造り酒屋のレンガ煙突♪」。これはさだまさしが津和野城跡からの箱庭のような津和野の情景を詠んだ「案山子」の一節ですが、私も同じような情景を眺めました。氷ノ山からの帰途に登った若桜鬼ヶ城は播磨、但馬、因幡への往還を眼下に臨む絶景でした。広島県でもこうした城跡が1,300カ所もあると言われます。中でも毛利元就の吉田郡山城、小早川隆景の新高山城(本郷町)、お膝元の神辺城や新市の相方城、井原の高越山城など。
城跡はできるだけ自分の足で歩いて確認することです。山を歩いていて、自然とは思えない石組や人の手が加わったような平坦地やくぼみ、尾根の切断があればそこは城跡に違いありません。山城を登りながら、そこであったできごとや活躍した人物などについてあれこれと想いをめぐらせる。歴史と自然と眺望にあふれた山城に登ってみるのもいいですよ。