僕たちが行っているフリークライミングにおいて、一度もロープに自分の体重を預けずゴールまで登り切ることを、「レッドポイント」といいます。
クライミングをする人は、毎回ルートを登り切り、成果を出して帰っていると思われそうですが、実際はほとんどの場合、失敗を積み重ねていたりします。
もちろんクライミングのゴールはレッドポイントなので、いつもそれを目的にするのですが、次第により難易度の高いルートを選択するようになるため、自然とレッドポイント達成までの挑戦・墜落の回数も増えていきます。
ルートに初めて取り付く時は、何度やっても緊張します。落ちることにビビりながら、また指先や体にちょっとした傷を作りながら、少しずつ岩のホールドの場所や持ち方、足を置く位置、体の向きを解読していきます。
何度も落ちながら、いつの間にかできなかった場所に慣れ、体が対応できるようになり、レッドポイントに到達できます。
同じルートでも、人によって何度も登らないといけない場合と、簡単にレッドポイントしてしまう場合とがあります。どんな場合でも、それがエネルギーを注いで登ったクライミングであれば、とても価値のあるものです。
「クライミングは99%が失敗の遊び」といわれたりします。できることが増えていき、初めは怖かった岩の中で、リラックスしてクライミングすることが可能になるプロセス、クライマーにしか感じることのできない時間かも知れません。
ゴールできないのに毎週末、どうして楽しそうに登りに行くのか、周りから見るとよく分からないかも知れませんが、こんなプロセス(と道中のしょうもない冗談)を、クライマーは楽しんでいます。