山の楽しみ方は人それぞれあると思います。「大パノラマの眺望や美しい植物に癒される」「険しい岩稜や岩壁を超え心地よい達成感を味わう」「山小屋で冷えたビールを乾いたのどに流し込む!」などなど、たくさんの楽しみ方があります。私の山の楽しみ方は、「長時間歩く」ことです。もちろん山に行けば風景や植物に心奪われるのですが、私が山に足を運ぶ大きな理由は長距離を歩きたいという衝動です。歩き始めは色々なことを考えているように思いますが、そのうちだんだん考えることが単純になってきて、何も考えずにただただ歩く物体になっていきます。
大自然の中を歩いているのに自分の中に潜っていくような感覚は何とも心地よく、どこまでも歩いて行けそうな気分になってきます。歩道や町の中を歩くのでは得られない没入感が山にはあります。日暮れ前にテント場に到着し、テントを張り、お湯を沸かし、ドライフードを食べて寝る。日の出前に起きてさっさとテントをたたんでヘッドランプの明かりを頼りに歩きだす。下山するころにはすっかり家が恋しくなっています。帰宅したとき家族や妻が少し輝いて見えるという副反応があるのも山の良いところです。
盛り上がりに欠ける山旅のどこがおもしろいのか説明しろと言われると困ってしまいますが、1週間もすれば「さて今度はどこを歩こうかな」とマップアプリを開いて見てうずうずしています。
これが私の山の楽しみ方です。福山山岳会では里山ハイクから日本アルプスをはじめとする本格的な縦走※やバックカントリースキーまで、様々な山での活動や技術講習会などを行っています。あなたもご一緒に新しい山の楽しみ方を見つけてみませんか?
※ 登山方法の一つで、山頂に立ったあと下山せずに次の山に向かうこと。