愛媛県の新居浜市と四国中央市にまたがる赤石山系。今回は東赤石山から西赤石山へと縦走しました。
標高は1700m前後とそれほど高くはありませんが、切り立った岩稜はスリルに満ち、気を抜けない道のりです。けれど、この山の魅力は険しさだけではありません。沢沿いを歩いていると清流の音に耳が癒やされ、やがて険しい岩稜帯を越えることになります。その足元には可憐な高山植物が咲き、厳しさと優しさが同じ場所に共存している─まるで舞台の幕が次々と切り替わるようで、飽きることがありません。
この辺りは、自然と同時に歴史の重みをも感じさせるエリアです。かつて日本の近代化を支えた別子銅山。その遺構が緑の中にひっそりと残されていて、静かに語りかけてきます。産業遺跡を目の前にすると、「ここで人が命懸けで働いていたのだな」と思わず背筋が伸びました。
そして登山者を待っているのが「ダイヤモンド水」と呼ばれる別子山の湧き水です。澄み切ったその冷たさは格別で、一口含むだけで体も心も洗い流されるようでした。今回の山行では、この清水で汗をぬぐうことを小さな目的にしていたほど。その瞬間、心も体も充電され、疲れた体を癒やしてくれました。
こうした中級者向けのコースに挑戦できたのも、山岳会に所属していたからこそです。一人では足を踏み入れられない場所ですが、仲間に引っ張ってもらいながら歩くうちに、「自分もここを越えられるのだ」と少しずつ自信が芽生えてきました。挑戦の中で自分も成長できたこと。それが、この山行で得た何よりの宝物です。
表情豊かな赤石山系を行く

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