岬の突端の断崖の上に建つ朱塗りの阿伏兎観音は景勝地として知られ、航海の安全・子授け・安産などの観音さんとして参拝者が絶えません。阿伏兎山(星拾丘)はその阿伏兎観音の近くにあり、遊歩道のある標高180mの山です。
阿伏兎山のコースは、阿伏兎山遊歩道西口駐車場~同灯台~南通り遊歩道~尾根歩き遊歩道~阿伏兎山~同遊歩道北口~同西口駐車場で、所要時間は徒歩で約2時間半です。遊歩道西口駐車場はバス停・阿伏兎観音のそばでトイレもあり、駐車場の端の遊歩道西口の案内板から木立の中を登ります。10分ほど登ると右手に阿伏兎観音灯台の案内板があり、灯台に行くと向かいに田島(内海町)が、左手には備後灘が見えます。瀬戸内海は都と九州を結ぶ航路として栄えたと言われ、古代船の多くはこの阿伏兎観音の前を航海したものと思われます。
南通り遊歩道を進むと道が崩れているので迂回して通ります。木立の中の階段を登ると納骨堂があり、尾根歩き遊歩道になります。途中に高射砲陣地跡があり、コンクリートの台座が残っています。その後は遊歩道に戻って、阿伏兎山を目指します。頂上の木造の展望台は破損して上がれません。下山は急峻な下り坂。気を付けましょう。
遊歩道を下ると遊歩道北口。標識に従って北口の方へ下りると目の前に「くちなしの瀬戸」と内海大橋があります。くちなしの瀬戸とは、古代船が尾道水道を目指してこの海域に入ると出口が分からなくなり、「出口なし」から呼ばれるようになったそうです。
内海大橋のたもとには、後白河法皇が厳島神社へ詣でる途中、航海の安全を祈って祠を建て鏡を奉納した厳島大明神が鎮座しています。