一期一会


「一期一会」は、茶人・千利休の言葉だといわれています。人との出会いは一生に一度限りという思いを込めてその出会いを大切にしなさい。さらに今あるこの機会は一度限りのものと心得て、誠実に対応すべきという理念が込められています。山登りをしていると様々な出会い、そして「一期一会」についてのいくつかの思い出があります。私の最も思い出となる出来事は、今から5年前、友人4人と北アルプス「裏銀座コース」に行った時の事です。

水晶小屋で明日のコースを話している時でした、一人の男性からここまで来たのなら、是非このコースを歩きなさいとお勧めがあり、そのあと丁寧にコースの地図や、ウイークポイントの場所など教えて頂き、翌日はそのコースを歩きました。天候に恵まれた事もあって絶景を楽しむことが出来ました。どこの誰ともわからない我々に「一期一会」の精神で親切に接して下さったことは、山の景色よりもはるかに温かい気持ちになり心が打たれたものです。

今年北八ヶ岳・南八ヶ岳に行った時、山小屋で一つの出会いがありました。これからは色々な山に登ってみたい、どの山がお勧めですかと話しかけられ、他のメンバーの人たちと一緒に地図を広げながら、知っていることを詳しく親切に説明して喜ばれました。

出会いの中で誠心誠意の手助けをすることが、お互い良い記念になり温かい気持ちになれるでしょう。山登りの醍醐味は、こうした人との出会いにあるかも知れません。どこの誰ともわかりませんし、二度と会うこともないかもしれません。小さな出会いを大切にすることこそが、「一期一会」ではないでしょうか。